TBSドラマ「中学聖日記」と「青い鳥」の表現したものと関係性

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前期のドラマで印象的だったのは「中学聖日記」でした。

推しの有村架純さんの主演に惹かれて見始めましたが、教師と中学生との禁断の恋というコンプライアンス的な側面が強調されたことも影響したのか初回から視聴率が振るわず、批判的な記事が目につきました。しかしながら全編通して緊張感のあるTBSらしいドラマでした。

その中で特に印象的だったのはTBSドラマの名作「青い鳥」をオマージュしたかのようなシーンや設定です。今回はこの観点から書いてみます。

 

1.女性の手を引き寄せ電車に乗り込む

勉強合宿から急遽東京に戻ることになった晶を送る聖。発車の直前に晶から手を引き寄せられ電車はそのまま発車してしまう。

このシーンは「青い鳥」で理森がかほりと詩織を連れて電車に飛び乗ってしまうシーンをかなり意識しているように思います。「青い鳥」のどこか懐かしさを残したローカル線を使ったビジュアルやしがらみや常識に囚われている現状から一線を超えて禁断の世界に踏み込む瞬間を象徴しているシーンに思えます。

  

   駅のホーム=常識に囚われた現状 ⇨   電車=本能のままの未来

 

2.夏川結衣のキャスティング

今回はそもそも「青い鳥」で圧倒的な透明感と儚さを演じた夏川結衣さんが「中学聖日記」に出演しているのはキャスティングの段階で暗示していたのかもしれません

「青い鳥」の夏川結衣さんの演じた女性の美しさと儚さはとにかく圧倒的です。

参考にそれぞれの主なキャストを記載しておきます。

 

  「中学聖日記

    黒岩 晶(岡田健史)    末永   聖(有村架純

    岩崎るな(小野莉奈)    河合 勝太郎(町田啓太)

  

  「青い鳥」

    柴田 理森(豊川悦司)   町村 かほり(夏川結衣

    秋本美紀子(永作博美)   綿貫 広務(佐野史郎

 

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3.脇役の役割

 ①幼なじみ

 「中学聖日記」の晶を思う幼なじみ・岩崎るなの位置付けは「青い鳥」では理森の

 幼なじみ・秋本美紀子 です。どちらも晶、理森を理解し深い愛情で見守りサポート

 します。

 

 ②恋人・結婚相手

 「中学聖日記」の聖の婚約者は河合勝太郎、一方「青い鳥」では、かほりの夫・綿貫

 広務 です。

 

 ここで興味深い点が一つ。「青い鳥」では広務はかほりを追い求めてストーカー的に

 執着します。一方「中学聖日記」の勝太郎は聖を気に止めながら理解しサポート

 していきます。かほりを愛し追い求める広務は完全に悪として表現されていること

 と対照的に晶の母としての愛子のそれはあくまで最後まで正義として表現されます。

 

 最終回で聖を指導する中学校の校長であった塩谷が、愛子に向かって晶に対する母親

 としての導きが正しく、間違っているのはあくまで聖と晶であることを諭すシーンも

 ヒール役に見える愛子が正しいということを製作者側が象徴として表現していた

 シーンでした。

 

今回の「中学聖日記」は久しぶりにTBSドラマの底力をみたような気がします。あえて言えば、聖が晶に惹かれていく過程はもう少し丁寧に表現できれば更に良かったと感じるものの、毎回、観終わったあと良い意味で疲労感を感じたほど。今後も良質なドラマを期待したいです。